年齢・性別問わず起きる皮膚のかゆみ~原因
あるとき突然にこれまでまったくなかった皮膚のかゆみ、とりわけ手足やお腹まわりに猛烈なかゆみを感じて、長い間不快感に悩まされる人も少なくないようです。
皮膚のかゆみと一口で言っても、原因と症状はさまざまです(痒み(Wikipedia))。
身体の感覚を感じとる部分(受容器)に「ヒスタミン」という物質が作用すると、かゆみを感じます。
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これは皮膚に有害な化学物質が付着した場合に、いわば「警告」として炎症が出るもので、その意味でかゆみは「アレルギー症状のひとつ」です。
特定の食べ物を食べたときにアレルギー反応として、猛烈なかゆみの症状が出るときがありますが、こちらのほうはまだ原因がはっきりしていません。
さらには、肝臓や腎臓などの内臓疾患の一症状としてかゆみが起きる深刻なケースもあります。
「かゆみ」と「痛み」は類似点も少なくなく、これまで同じ神経を経由していると考えられていました。
しかし近年、かゆみは痛みは異なる神経メカニズムにあるという反対説も出ていて、「"かゆみ"の感覚は、一体何のためにあるのか?」については、まだよくわかっていないのが現状です。
なんの病変もないけれど、ただ皮膚が猛烈にかゆくてたまらなくなるという、いわば「かゆみそのものが主症状」のときもあって、かゆみの発生原因は実に色々です。
したがって皮膚科では、通常はまず皮膚の状態を観察し、「そのかゆみの原因が何なのか」を特定することが、最初に行われます。
原因に応じて、そのかゆみに対する治療方法も変わってくるからです。
一般に皮膚のかゆみは、寒さが強まるほどひどくなる傾向があります。
寒さによって血流が悪くなると、皮膚の表面で水分を保っている「角層」内の水分が減少して、すき間が生じます。
すると、それらのすき間から入ってくる異物による刺激を警戒し、知覚神経が皮膚の表面まで伸びてきます。これによって、知覚神経がいつもより外部の刺激に敏感に反応する状態になり、かゆみをより強く感じるようになるのです。
腕やすねの内側などをつい長い時間かきむしってしまい、肌が真っ赤になったり皮がむけたり…といった経験は、誰にもあるところではないでしょうか。
このように何の病変も伴わず、単純に皮膚がかゆくなる状態は「皮膚掻痒症(ひふそうようしょう)」と呼ばれ、一般に40~50代以降の中高年・高齢者、しかも男性により多い症状とされています。これは加齢によって皮脂の分泌が少なくなり、皮膚の乾燥が進んでくることによるものです。
中高年の男性は、一般に女性に比べて肌に無頓着な傾向がありますから、もともと肌荒れもしやすい状態になっていて皮膚の乾きに拍車がかかるという面もあるでしょう。
しかしながら基本的に皮膚のかゆみは、部屋の空気が乾燥して皮膚表面から水分が蒸発し、肌のうるおいが失われ、同時に血液の循環も悪くなることに起因します。
そのため皮膚のかゆみは、年齢や性別を問わずに起きることが多いのです。
男性はもともと女性よりも「皮脂」が多く分泌されるのですが、皮脂は実は肌のうるおいを保ち、かゆみを防ぐ役割も果たしています。
しかし冷たい空気や風にさらされることで末梢血管が収縮し、皮膚の血流が悪くなってくるために、皮脂の分泌が悪くなると同時に、肌の水分も少なくなります。
このような皮膚の乾燥と血流の悪化がまさしくかゆみを引き起こす原因であって、年齢や性別に関係なく起こる症状となっているのです。
とりわけ手のひら・足のうら・腕の内側やすねのあたりなどは、もともと皮脂が不足しがちな部位でもあるために、強くかゆみを感じることが多くなります。
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皮膚のかゆみ対策~肌の保湿確保がポイント
ところで、かゆいときに皮膚をかきすぎると、何がまずいのでしょうか?
かゆい箇所をかきむしることで、皮膚の表面にあって皮膚を保護する角質層が、はがされてしまいます。
そうして防御機能が弱まったむきだしの肌は、外部の刺激に対してさらに敏感になるために、かゆみが耐え難いものになってくる悪循環を引き起こすことになるのです。
また爪が汚れた手で強くかきこわしていると、むきだしの皮膚から雑菌が入り、湿疹や化膿による二次感染を引き起こす可能性もあります。
とくに高齢者は若い人に比べ、かきこわしによる炎症も起きやすくなります。
このような理由からも、かゆみの原因が何であろうとも「かゆみが強いときは、かきすぎない(かきこわさない)」ようにすることが大切になります。
「かゆみの原因の多くは、皮膚をかくだけでは解決できない」ことを覚えておきましょう。
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皮膚のかゆみへの対策としては、上で述べたとおり「皮膚の乾燥と血流の悪化」が主な原因となっているわけですから、肌にうるおいを与え皮膚の湿度を保つようにするのが効果的です。
まず室内環境は、暖房などで部屋が乾きすぎている場合、加湿器の使用あるいは室内に水の入った置物を置くなどして、50~60%以下にならない程度に室内の湿度を保つようにします。
室内の湿度を確保することで、体感温度が下がりにくくなるため、静電気なども発生しにくくなります。
かゆみ対策だけでなく、静電気対策や暖房費節約といった副次的効果もあって、部屋の乾燥を防ぐことには、いろいろとメリットがあるわけです。
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保湿ローションの注意点と、皮膚科の受診
乾いた肌にうるおいを与えるため、保湿ローション・乳液などを使いましょう。
脂分・水分を皮膚に供給することが目的ですので、通常は市販のワセリンや保湿クリームで自分にあったものを使うことで十分です。
抗炎症作用・アレルギー予防作用の強い不飽和脂肪酸を多く含む「馬油(ばあゆ)」も、肌によいといわれています。
しかしながら、強いかゆみがどうしてもおさまらないときは、皮膚科で抗ヒスタミン剤や副腎皮質ホルモン軟膏などを処方してもらうほうがよいケースもあります。
上で述べたとおり、皮膚のかゆみは原因が何であるかで対処法も異なります。
単に肌寒い日にからだがかゆくなるというのではなく、いわゆるアレルギー性皮膚炎やアトピー性皮膚炎・アレルギー性じんましんなど、発生原因が特定のアレルギー物質によるものである場合は話が別で、この場合は皮膚科を受診し、原因を特定してもらうことが最善の道となります。
このような場合に薬局から適当にクリーム・軟膏などを買って用いていると、かえって症状が悪化する場合もあるので注意が必要です。
かゆみの症状がどうやっても治まらず、しかも原因がはっきりしない場合は、ひとりであれこれ悩むよりも先に皮膚科で原因を特定してもらうほうが、その後の対応も適切にできるので良いでしょう。
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生活環境の改善~皮脂が失われがちな肌
私たちの日常生活は、皮膚の乾燥や敏感肌を招くさまざまな要因に取り囲まれています。ここでは部屋の湿度調節・肌の保湿をはかること以外の細かなケアについても、いくつか述べておきます。
服装は、首回りの皮膚に刺激を与えるハイネックのウールセーター・毛羽だった素材・静電気の起きやすい化学繊維等は避けましょう。
肌につけるものとしては、綿100%製品が刺激も少なくてよいでしょう。同様に寝具も、シーツなどは清潔な綿製品を選ぶようにしたいものです。
お風呂に長く入りすぎて、あがった後にビールなどを飲んでいると猛烈に身体がかゆくなってきた…という経験をされた男性も多いのではないでしょうか。
長湯によって皮膚の血管が拡がり、急に血の流れがよくなることで起きる現象ですが、これを避けるには、そもそも入浴時の長湯を控えるしかありません。
お風呂で肌の皮脂も失われてしまうので、それをさまざまに補うことをも考えたいものです。
入浴剤は、保湿剤の入ったものを使うようにします。ただし「硫黄成分」の入った入浴剤は、逆に皮脂を取ってしまうので避けましょう。
また石けんの使いすぎによっても必要な皮脂が失われるおそれがありますので、ナイロンタオルなどであまり強くゴシゴシこするのも止めておきましょう。
背中やすね等の乾燥しやすい部位に石けんを使うのは週に1~2回程度に留め、通常はお湯で洗うようにしましょう。そしてお風呂上がりには、保湿クリームを忘れずに塗っておくようにしたいものです。
肌・皮膚によい食品としては、ベータカロチンを多く含む緑黄色野菜や、からだの熱を高める乳製品・卵類・ごま・ナッツ類などの食品群があげられます。
ただし、たとえ肌・皮膚によい食べ物に分類されていても、自分が過去にアレルギーを起こしたような食品が含まれている場合は、もちろん避けてくださいね。
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